こんにちは。なまけてブログにようこそ。
皆さんは、芥川龍之介の『歯車』という作品をご存じでしょうか?
『歯車』で描かれる死の予兆
『歯車』は、1927年に執筆された作品で、芥川龍之介はこの3か月後に服毒自殺をします。
物語には、死を匂わせる妄想と幻覚が描かれています。
- レインコートを着た男
- 目の中で透明な歯車が回転しているのように見える幻覚
- 飛行機(墜落を暗示している)
- 「復讐」や「死」を意味する言葉に敏感になる
このような、死と破滅を予感させる言葉が何度も出現します。
また、主人公は強度の不眠症なのですが、ホテルに籠って原稿を書かねばならず、親族の不幸もあって、精神的にも肉体的にも追い詰められていきます。
そして物語の最後は、
誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?
という、悲痛な言葉で終わっています。
絶望に追い詰められたときに起こること
人間の脳には「スコトーマ」という傾向があります。
興味のある物事について、無意識のうちに探し求めるという心理現象です。
興味が良い方向(希望や目標)に向いていれば、それらに関係する情報が「幸運にも」見つかったような気になりますし、『歯車』の主人公のように絶望のどん底にいればすべてが死の象徴に見えてしまいます。
だからこそ、物事は楽観的にとらえたほうが楽になります。しかし、自分の思考が悲観的な方向にしか向かない、負のスパイラルに入ってしまっている場合は、物事を楽観的にとらえる余裕はありません。「良い方に考えよう」とは、なかなか思えないでしょう。
「心の支え」になることは手放さない
ナマケモノは、この『歯車』の物語のなかで、主人公がアフォリズム(警句・格言)によって、活力を取り戻すシーンが印象に残りました。
作中には、どのような警句が主人公の支えになったのかは書かれていないのが残念ですが、そのような状況にピタリとくるような、短い警句を見出したときの救われたような感情は、共感できると思いました。
絶望の中にあっても、生きる支えになるようなものは大切にしたいですね。
言葉、本、映画、音楽なんでもいいんです。そういうものだけは手放さないようにしたいです。
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