ジャズが好きと言っておきながら、長い間、ゲイリー・ピーコックというベーシストの存在を知りませんでした。植草甚一さんの本で名前を知り、ストリームで少し聴いてみたのですが、とても堅実かつ渋い演奏。そして、なにか抒情的なものを感じたので、改めて聴いてみようと思いました。
ゲイリー・ピーコックというベーシスト
ゲイリー・ピーコックは、日本にも住んだことがあるミュージシャンで、禅にも詳しいとか。演奏歴も長く、音楽学校で教えていたこともあるそうです。大きく包み込み、支えるようなベースの基本に徹しているのだなと、納得いきました。
それでも、ソロの時や相手に合わせるときには、ちゃんと前に出てきます。臨機応変に余裕のある大人の演奏なんですね。
聴いてみたアルバムは、『GREAT3 Kikuchi=Peacock=Togashi Begin the Beguine』
1994年のものです。帯にはなにやら「22年ぶりに3人が…」と書いてありますが、ずいぶん昔に一緒に演奏されていたのですねー。
静寂のサウンド
まず思ったのは、とても抑えた演奏だということ。音が澄みわたり、ピアノ、ベース、パーカッションが、緊張感があるのにバランスが整っていることです。ブランクがあるとは思えないほどの合わせぶりです。
この雰囲気を例えるのはとても難しいのですが、あくまで個人的な感覚で言うと、和の雰囲気がするのです。静かな庵(そんなものは普通ないので、茶室を想像してください)で、明かりとりの障子窓を少し開けて、静寂の中降る雪を眺めている、そんな感じです。
演奏している曲は「Summertime」や「Begin the Beguine」、「Home on the Range」ですから、洋物のニオイがしてもいいはずなんですけど、どうしても、そう思えないアレンジです。
静寂で美しく、ときに動的になっても、また抑えた調子に戻っていく。淡々と進むといっていいくらいな静かさで、その様子は水に生じた波紋のようでもあります。
5曲目の「My Favorite Things」も、テーマを聴くまでわからないくらいでした。京都に行きたくなるあの曲ですが、このアルバムのアレンジだと、観光地になる前の京都の禅寺にいるみたいな気分になります。
7曲目、「Coral Spring」。直訳すれば、サンゴの泉?または、南フロリダにある街 “Coral Springs”の名前なのか、分からなかったです。曲は幻想的ですばらしい演奏だったので、曲名の由来を是非知りたいものです。
疲れた時に聴く、休まるジャズ
最近は、音の洪水のような、フリージャズ、前衛ジャズを聴くことが多かったので、このようなしみじみとした、ときには雪の中を歩くような静かなサウンドは、とてもリラックスできます。
疲れたら、ここに帰ってくればいい。そんな気分にさせるような良いアルバムです。
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