科学の歴史は、研究と発見、応用の繰り返しのようです。
いままで良く分かっていなかったり、特に注目を払っていなかったことについて研究することで、新しいことが発見され、新技術として応用されていきます。また、その応用の結果、別の新しい発見の礎になることも、普通のことです。
新しい体内器官の発見
2018年、人間の体の中に新しい器官が発見されました。
「間質」という組織は、体内のいたるところに存在し、それまでは器官としては特に認識されていなかったのです。この間質に注目して研究してみると、液体が流動して体内の組織を運搬する役割を担っていることが分かりました。
これらの過程を経て、名前をつけることでこの新しい器官が「発見された」のです。
いままで注意を払っていなかったことについて、他と区別して、名前をつけることで新しい事象が生まれるということになり、人間の認知の面白さを象徴的に表しているのではないかと思いました。
妖怪の発生パターン
話が跳ぶのですが、妖怪というオカルトなものも、人間が認知して、名前を付けて他と区別することで、初めて生まれてくると考えられるでしょう。
妖怪の誕生は、その過程を大ざっぱに分けると3つのパターンに分かれます。
伝聞・伝承
山奥で、奇妙なお婆さんに出会った。この話が人伝えに尾ひれがついて広がると「山姥」という名前がついて妖怪になります。
磯に水死体が打ち上げられた。体内ガスの作用でパンパンに膨れた醜い姿を見た人は、「牛鬼」という名前をつけて妖怪にしてしまいます。
これらは、伝聞や伝承に名前がついた時点で、妖怪として認識されたものです。
奇妙な体験
「小豆洗い」は、夜の川の近くで、シャラシャラという小豆をざるに入れて洗っているような音が聞こえてくる不思議な現象に名前が付いたものです。
野山を歩いていて、気が付くと手や足に鋭い刃物で切ったような傷を負っている。これは「かまいたち」という妖怪のしわざにちがいない、ということで妖怪が生まれます。
奇妙な体験を空想で膨らませ、名前をつけることで妖怪だと納得するパターンですね。
風刺
「猫又」や「百鬼夜行」は、江戸時代のひねりの効いた文化が生んだ妖怪です。
階級社会に生じる風刺を、絵や戯言で「妖怪」ということにしてしまい、面白おかしく大衆に提供したものになるでしょう。自然発生とは違う、癖のある妖怪たちが多数うまれました。
いまも生まれつつある妖怪たち
まとめると、妖怪は人間が生み出すもので、一方では研究や発見の成果であり、また別の一面では風刺や皮肉などの「悪ふざけ」が主なものです。
これらの妖怪は、いまでも生まれているといえるでしょう。
SNSでものすごい数のメッセージが飛び交い、インターネットであっというまに広がっていく。バズワードはそれらに名前を付けることでキャッチーにしたものであるので、まさに現代の妖怪です。
どこかSNSのサーバや、スマホのメールのアーカイブなどに住み着いて、忘れられても、また別の名前で発見されて広まったり。まさにコントロールできない、神出鬼没の存在ではないかと思います。
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