『美しい日本のくせ字』とアートの重要性

ホビー

『美しい日本のくせ字』(井原奈津子 パイインターナショナル)を図書館で見つけたので読んでみました。この本は書店で見かけた際に、買おうかどうか迷った本だったので、今回、ちゃんと読めて嬉しいのです。

いろいろなくせ字を集めた稀有な本

この本は、筆者がカリグラフィデザインとしての「くせ字」を扱った本、ということになるのでしょうか。有名人、無名の人、看板から果てはゴミとして拾ったメモ書きまで、くせ字を集めて紹介しています。本の特徴上、電子書籍で買うよりは紙の本として扱ったほうがより伝わる本だと思います。

いろいろな字の書き方があるんだなーと感心しながら眺めているだけでも楽しいです。

稲川淳二さんの文字

その中で、やはり一番インパクトが強いのは、稲川淳二さんの手書きノートではないでしょうか。コンピュータのフォントのように整った字が、オレンジのボールペンで端正に書き綴られているのをみると「すごい!」と思わず唸ってしまいます。しかもその内容はあの怪談なのですからね。いやー、こわいなぁ。

稲川淳二さんのノート

西尾繁さんの文字

次に目が離せなくなるのは、発達障害の人たちが書いた文字です。書くことが楽しい、文字を刻むように書く、という紹介の言葉が分かるような気がします。筆者は、これらを中国の古典や石碑の文字と比較していますが、まさにそんな感じで、アートとして楽しむべきものです。実用的には、ちょっと使いづらいとは思いますが、こんなふうに書かれたメモ書きが机の上にあったら、どうしても読み解こうとしてしまうでしょう。人間の脳の好奇心に直接作用するような不思議さを持っているからです。

西尾繁さんの名刺

省エネ文字

筆者がゴミの中から思わず拾い上げたという、「省エネ文字」もなかなか面白いです。これは案外実用性があるんじゃないでしょうか。ちゃんと読めるし、素早く書けそうです。

文字や文章は、やはり適切な余白がないと、かなり読みづらいものになるのだなと、改めて思います。自分が会社で作る仕事の文書が、読みにくなっていないだろうか、自己満足で終わっていないかということを考えさせられます。

省エネ文字

文書は見た目も大切

文書は内容が大切なことは、十分わかっています。どんな殴り書きであっても、内容が面白ければ読む価値はあります。しかしあまりに見た目がダメな文書だったら、そもそも読んでもらえません。ぎっしり詰まった文字間が無いようなチラシや、文字の中心点や水平線がバラバラな文書だったら、きっとスルーしてしまうでしょう。

見た目も大事なのです。そしてそのデザインとしての文書にはアートの影響が欠かせないことになります。美しく配置されたものであれば、たとえ内容が薄くても思わず読んでしまいますよね。要するに、見た目も内容もちゃんとしていることが、最低限の文書としてのマナーなのだと思います。

アップルのジョナサン・アイーブもおそらく同じ考えなのだと思います。見た目も中身もクールだったからこそ、iPhoneは革新的だったのですから。


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