ジャズ聴き比べ、その8

ジャズ

J.J氏こと、植草甚一さんの著作に出てくるモダンジャズを聴いてみようということで始めましたが、今回で8回目になります。

60年代終わりから、70年代初めのジャズシーンは、ヨーロッパに渡ったり、フリージャズから前衛ジャズに移行したり、ロックやエレクトリック融合したりと、様々な変化を試みている時期でした。

中には、「これはジャズなのか?」と思うようなものもありますけども、特にジャズのような、即興性を大事にする音楽ジャンルは常に変化していかないと、停滞してしまうのですから、必要なことなのです。泳ぐのをやめたら死ぬサメのような、宿命があったのですね。

今回聴いた曲

ミュー 第一部、第二部(”MU”/Don Cherry)

基本的には、トランペットとドラムだけの前衛的なアルバムです。ドン・チェリーの八面六臂の活躍ぶりには脱帽します。フォークロア的な曲ではインディアンパイプを吹いたり、ピアノを弾いたり、ときには自らも掛け声をかけて楽しんでいるような、即興音楽の連続です。唸り声をあげては、ピロピロをパイプを吹き、それを繰り替えすところなんか、なにかの芸人の再現のようでもあります。音楽として聴くのはすこし難ありですが、ユーモアはたくさん入っていると思います。

ディギン(”Diggin’ Live in Tokyo”/Albert Mangelsdorff)

アルバム名は「Live in Tokyo」です。1971年に日本のジャズクラブ・ディグで録音されています。狭いクラブでのライブ感が良く出ていて、ちゃんとスイングするなあと感心します。トロンボーンもジャズのメイン楽器になれるんですね。

3曲はイントロから低音でずーっとホーンを鳴らし続け、他のパートが入っていくような構成で面白いです。というか、良く息が続くなと思います。テナーサックスとトロンボーンの掛け合いが良い曲です。

東京で録音されているのだけど、そのような「日本っぽさをサービスする」みたいなところは無いように思えました。あえて「禅」とか「さび」とかには手を出さなかったのかもしれませんが、好感が持てます。

ヨーロピアン・エコーズ(”European Echors”/Manfred Schoof)

16人の大所帯、音の洪水です。最初から次々といろんな楽器の音が炸裂し、奔流になって流れていきます。初めのほうにある、ホーンパートの咆哮は、悲鳴のようでもあるし、金切り声で破滅を予言しているような効果を出しています。

ホーン、ピアノ、ベースなど、それぞれの楽器のパートごとに、競演を繋げていく形式は、ジャズの即興演奏の形式を踏襲しているのか、面白い構成だと思いました。しかし、前衛芸術の情熱がその構成を古いものとみなして否定もしているのだ、と言っているのかもしれません。そこまではちょっと読み取れませんでした。

マンフレード・ショーフのトランペットは、かすれもせずにとても美しい音を出します。前衛芸術でブローを炸裂させるよりは、もっと情緒的なフォームに合わせた曲で聴いてみたいですね。

モバビリティ(”Movabillity”/Martial Solal)

植草さんの著作の中では「枯葉」を演奏しているアルバムがあると記載されていたのですが、その年代でちょっと探し出せませんでした。1976年の上記アルバムのなかに「枯葉」を見つけたので、こちらを聴いてみました。

ピアノのベースのペアで構成されています。ピアノがソラール、ベースはニールス・ペデルセンです。こんなにシンプルな構成で、スタンダード曲おアルバムなのに、それぞれの技量が高いために、豊かな音楽駅表現が聴く側を飽きさせません。

美しいベースとピアノの掛け合いは、息があっていて音楽として完成度が高いと感心しました。なによりも、リラックスして聴けるところが良いですね。前衛ジャズは、どうしても構えて聴いてしまうところがあるみたいです。

ジョージアの牧神の午後(”Afternoon of a Georgia Faun”/Marion Brown)

「牧神の午後」をちゃんとイメージさせながらも、どこか環境音楽やASMRに近い感覚を持ちました。ヘッドフォンで聴いたからかもしれませんが。

森や茂みの中にいて、鳥の鳴き声や木々のざわめきの中に、なにものかがいる気配が伝わってきます。牧神が奏でる笛の音や、誘惑する歌声などが風にのって聴こえてくるのですが、どこに居るのか皆目見当がつきません。ステレオやエコーなどのアレンジを上手くつかって、まるで後ろから誰かに肩越しに見られているような効果を出しています。

夜中に聴くとちょっと不安になるかもしれません。民族音楽に造形の深い、ジョーンズならではの曲ではないでしょうか。

これらの感想は、あくまで個人的なものです。勘違いなどもあると思いますが、悪しからず。


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