ショスタコーヴィチ交響曲第5番「革命」を聴く

ジャズ

ここ最近、通勤途中にショスタコーヴィチ交響曲第5番「革命」第4楽章を聴くことが多いです。テンションが上がる曲、といってしまうとなんだかですが、オーケストラが吼える感じは、「やってやるぜ!」みたいな気持ちになります。

第4楽章はすばらしい爽快感

ショスタコーヴィチはソビエトロシア時代の作曲家で、マーラー以降の交響曲作曲家の大家、というほど評価されています。

しかし、この第5番を作曲するまでに作ったバレエ曲とかは、ソビエトロシアの機関紙などにけなされていて失敗だったようです。当時は、スターリン体制の真っただ中であり、少しでも失敗みたいなレッテルを貼られると粛清の対象になってしまうから、恐ろしい時代だったのですよね。

ショスタコーヴィチは、名誉回復と生き残りを賭けて、この交響曲第5番を作曲します。結果、初演から大成功し、一気に評価を上げることに成功しました。

この第5番は、それまでの作曲スタイルと違って、古典的な交響曲の形式に戻して単純ながら明快な構成にしました。聴衆にとってはわかりやすく、力強く聴衆を引き込んでいくように意識したものであると思います。

特に、第4楽章ははじめからスピードが上がり、豪快かつ勇壮なイメージで人気があります。ショスタコーヴィチの交響曲第5番といえば、やはりこの第4楽章の冒頭のことを指します。

この曲に賭けたショスタコーヴィチの努力や精力、周囲の体制への恐れも伝わってきます。もちろん、一時的にせよ、いままでのスタイルを捨ててまで臨んだものでしょうから、当然迷いもあったと思いますが、それらのことを感じさせない、吹っ切れた作品、悪く言えば開き直った作品になっているのではないでしょうか。

「レニングラード」との比較

ショスタコーヴィチのもう一つ有名な交響曲は第7番の「レニングラード」です。第7番第一楽章に出てくる「戦争の主題」は、ラヴェルのボレロを意識して作曲されていて、とても有名です。ショスタコーヴィチは、この第7番で完全に名誉回復します。スターリンから賞をもらい、ロシア共和国功労芸術家の称号を授与されています。

交響曲第5番が起死回生の一手になり、第7番がそれを完全なものとしました。しかし、この第7番は、レニングラード包囲戦で飢えと寒さに耐える市民および、大祖国戦争に携わるロシア国民に捧げられたものであり、作者の名誉のために作曲したとは言い難いものがあります。

戦争の真っただ中、ソビエトロシアのプロパガンダ的なものに媚びるようなイメージをついもってしまいますが、ショスタコーヴィチは、後々に「スターリン体制をも批判した曲だ」と言っていますし、何にせよ、国民を鼓舞するために実用的な音楽が必要だったのは間違いないと思います。

第5番、第7番も、「分かりやすい」という点では共通点があり、十分に実用的です。ソビエトロシアをナチスから守るための武器に、十分になり得たと言えるでしょう。

戦争をテーマにした曲は名曲足りえるのか

ところで、戦争をテーマにした曲というのは山ほどありますが、たいていの場合は、いろいろなイメージを内包しています。勇壮なイメージもあれば、不安、悲惨、などを表しているもの、平和を取り戻すために立ち上がるといった勇気を表現しているものものあります。

ショスタコーヴィチの交響曲は、戦争の悲惨さと勝利を主題にしています。これらすべてを表現してこそ、作曲家の意図するところであり、名曲と言えると思います。しかし、このような、相反するイメージを内包する曲というのは、受け取り側がどのように思うかによって変わってきてしまう危険性をも持っているのではないでしょうか。

勇気、勇壮、豪快と言った部分だけ使うことは結構よくある話です。「部長刑事」という日本のドラマのオープニングに、第5番第4楽章の冒頭が使われています。また、「銀河英雄伝説」のOVA版では、戦闘シーンで使われているそうです。

第7番に至っては、アリナミンVのCMソングに利用されているという、節操のなさ。すこし前の日本っぽいですけど、これも受け取り側が都合のよいところだけ切り取って使うことができるという例にすぎません。

作曲家が意図しない利用方法はよくあるとは思うのですが、好ましくはないでしょう。少なくとも、もし自分が作曲家であれば、部分を切り取って使うのはやめて欲しいと思うでしょうから。

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