ゲイリー・ピーコック聴き比べその2

ジャズ

ゲイリー・ピーコックはジャズベーシストとして、それほど有名ではないのかもしれません。

たとえば、ポール・チェンバースやミロスラフ・ヴィトウス、ジャコ・パストリアスのようなベーシストは誰もが知っているかもしれませんが、ゲイリー・ピーコックはなかなか名前を聞くことはありませんでした。しかし、演奏歴の長さと、音楽学校でベースを教えていたという確かな技術によって、メジャーなバンドにも参加し、多くの音源をのこしています。

2回目になりますが、ゲイリー・ピーコックのアルバムを聴いてみて感想を紹介しようと思います。

今回聴いたアルバム

Voices/Gary Peacock

ピーコックのリーダーアルバムであり、日本文化に造詣の深いピーコックが日本に滞在いしていた1971年に録音されたアルバムです。禅などに影響をうけており、取り入れたように思えます。その世界は深遠で静寂といってもいいくらいです。

Ishi

もはやピーコックのソロと言ってもいいでしょう。バーカションやピアノは、ベースの引き立て役にまわる構成です。表面的に日本のメロディを取り混ぜただけの音楽とは格が違います。まるで、ベースでどこまで墨絵の世界に入り込めるかに挑戦したような曲のよう。頭の中には、やはり京都の石庭のような印象が浮かびますね。

hollows

他の曲とくらべ、テンポの速い、アクティブな曲です。パーカッションとの掛け合いによって、スリリングな感じを出しています。しかもそれは、少しもスイングするようなものではなく、触れば皮膚が切れそうな、エッジの効いた音の掛け合いなのです。

voice from the past

この曲では菊地雅章のビアノが実に美しいと思いました。タイトルに引きずられているのかもしれないですが、確かに古都や古寺など、京都の古いものから聞こえてくる、幽かな音に耳を澄ますような感じがします。日本の何を見たら、このような音楽に集成されるのだろうか。日本人である管理人にも、多分説明できないでしょう。

Mal Waldorn & Gary Peacock ー First Enounter

こちらも1971年のアルバムです。ピーコックのベースの技巧のキレが素晴らしいです。ベース中心に展開すると、そのベースのうねりがメロディになり、しっかりと曲の芯を奏でるところがすごいのです。ベースソロとは違うイメージになります。

ウォルドロンについてはあまり知らなかったのですが、こちらも技巧派のピアノではないでしょうか。ピーコックのベースの斬れ味に全く負けていません。両者の息が合い、表に裏に、お互いを支えながら曲が進んでいく様は、フリージャズの面白さだなと改めて思います。職人肌の安定感があり、とてもリラックスして聴けるアルバムです。

Tethered Moon/Gary Peacok, Masabumi Kikuchi, Paul Motian

こちらは1991年のアルバムです。旧知の菊池雅章とトリオを組んだティザードムーンのアルバムです。

聴く者の肌に、ゲイリー・ピーコックの世界がしみこむようなサウンドだと思います。菊池雅章のピアノとピタリと音が噛み合うのは、一緒に演奏している回数の多いこともあることながら、やはり相性の問題ではないだろうかと思います。

ピアノはエモーショナルでありながら、静かな世界を想像させます。そして、ビーコックのベースは澄んでいて鋭いながらも、引くところはちゃんと引いているし、きっちりと支えています。リーダーアルバムであった『Voices』とは少し演奏を変えている感じです。

このベースの在り方は、もちろんコンボの中でのベースの役割を忠実に守っているということになりますし、ジャムセッションを支えるということではチャールズ・ミンガスと同じことをしているのです。

しかし、ピーコックのベースの音は、ミンガスとはまるで質が違います。

ミンガスの場合はメンバーを後ろから支え、フロントプレイヤーをホットにさせる、昔ながらのリズムセクションのなかにいます。それに比べてピーコックの音は、静かな水面の波紋を思い起こさせます。硬質であり、さざ波のような音が心をかきたてるのです。

ここまで違うと、演奏の技巧というよりは、性格や、何にユーモアを感じるかの感性の違いが出ているのかもしれないな、と思います。

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