追憶・名ピアニスト、マッコイ・タイナーを聴いてみる

ジャズ

2020年3月6日、ジャズの名ピアニストである、マッコイ・タイナーが81歳で他界しました。ジャズミュージシャンも長生きする人は長生きするのですね。当たり前ですが。

ジャズミュージシャンの伝記などを読むと、結構、短命な人が多いのです。ジャズミュージシャンは、どうしても飲酒や麻薬などに手を出しやすい環境に置かれていました。夜のバーやキャバレーで演奏し、バンドは旅から旅の毎日ですから、疲れをとってシャキッとするために薬に頼ることが多かったようです。

このあたりは、無頼派と呼ばれた日本の作家、坂口安吾と似ていますね。坂口は、昼夜問わずぶっ続けで仕事をするためにヒロポンを打ち、仕事が終わると眠るために睡眠薬や強いアルコールを飲んでいたようですから、身体を壊すのも当たり前というような生活でした。

マッコイ・タイナーが長寿なのは、そういう酒や薬におぼれなかったからでしょう。タイナーの信仰のことは分かりませんが、ディジー・ガレスピーが長生きできたのはイスラム教徒に改宗して禁酒したからだとか。タイナーにもそういうきっかけがあったのかもしれません。

マッコイ・タイナーとはどんなピアニストか

マッコイ・タイナーの初期のキャリアは、ジョン・コルトレーンのレギュラーバンドでした。コルトレーンのメジャーなアルバムに名を連ねています。『アセンション』や『至上の愛』など。やがて、コルトレーンとの音楽的な見解の違いで、バンドを離れることになります。

その後は、バンドリーダーとしても活躍し、多くのアルバムを残しています。特に、1992年の『ザ・ターニング・ポイント』はグラミー賞を受賞しています。タイナーの代表作のひとつです。

今回聴いたアルバム

“The Real McCoy”/1967

マッコイ・タイナー初期の頃の名盤です。テナーにジョン・ヘンダーソン、ベースがロン・カーター、ドラムにエルヴィン・ジョーンズと、とにかくリズムセクションが豪華ですね。もちろん、ヘンダーソンだって上手いのですが、タイナーを加えたリズムセクションがあまりにかっちりして安定しているので、テナーがすこし浮いて聞こえるくらいです。

Passion Dance

タイナーの有名な曲です。ノリが良く、メロディもとてもスムーズです。タイナーのピアノの音は、クリスプな音に聞こえます。音量が小さくても、粒がつぶれないとても強いタッチで聞こえてきます。リズムセクションが安定しているので、テナーもノリがいいのでしょうね。

Contemplation

このアルバムの基本のノリはだいたい同じなので、ちょっと損しているのではないでしょうか。安定感のある曲が続くというのは、少し聴き飽きるかも。あくまで正確なピアノのタッチはくずれません。しかし、それは繊細さや抒情感を出しにくいということなのかもしれません。

Search for Peace

ピアノの音の良さを感じられるスローバラード調な曲です。それならば、もう少しユーモアや弱さのようなものも欲しいところですが、タイナーの音は完璧感を出しています。愛聴するに値しますが、破綻がないのが逆にちょっともったいないのですね。

Blues on the Coner

楽し気なノリの曲です。こういう曲が入っているとリラックスできるのです。タイナーも、楽しんでいるように聴こえるから不思議です。

“Extensions”/1972

ベースのロン・カーター、ドラムはエルヴィン・ジョーンズは『The Real McCoy』と同じですね。違うのは、やはりハープ奏者のアリス・コルトレーンが入っているところでしょう。彼女の参加で、音にアフロアフリカな感じを出しています。

また、プロデューサーとして、デューク・ピアソンが名を連ねています。そうすると、このアルバムもソウル・ジャズに近い印象なのかもしれません。

Message from the Nile

アリス・コルトレーンのハープが印象的です。タイナーのピアノの正確さは変わらないはずですが、少しだけホットな感じがします。曲調は、ナイルと言うだけあってアフリカの青い空と風、大地から太陽が昇るようなイメージです。

His Blessings

ハープの音とサックスの音が揺さぶりをかけているので、スピリチュアルな感じがします。しかし、タイナーのピアノはやはりブレない。それでも、新しいものを探求するような、手探り感を感じずにはいられない一曲です。

“The Turning Point”/1992

ビッグバンドでタイナーの名曲を交えて聴こうという名盤。グラミー賞を受賞しています。タイナーの音は、スモールコンボよりもビッグバンド向きなのかもしれません。収録されている曲がすべて良いですね。個性はあまり感じないのですが、アレンジが優秀なのかなと思います。

Passion Dance

スモールコンボで聴くのとは全然違うイメージを持った名曲になっています。ホーンの音量が安定しているので、全体としてバランスが取れている感じです。それでもタイナーのピアノは響きも音量も良く、粒々していてすばらしいです。多少、無個性になった感もあります。

Let It Go

カリプソソング風に仕上げてあります。こういう曲はビッグバンドで聴くと、本当に楽しいものです。リラックスできる実用的な曲になっています。ピアノの高音が光っていて、掴めそうなくらいです。

High Priest

元はアートブレイキーとジャズメッセンジャーズの曲かな?タイナーの1968年のアルバム『Tender Moment』にも収録されています。そちらのほうは、リー・モーガンが参加していて美しいトランペットの音に耳を奪われがちでした。The Turning Point ではビッグバンドで奏でるので、ホーンよりはタイナーピアノの音が印象的です。他の曲より不協和音多めで、セロニアス・モンクのような弾き方ではないでしょうか。

以上、あまりに素人くさい意見ではありますが、正直なところを書いていますので悪しからず。

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