ジャズ聴き比べ、その10

ジャズ

植草甚一さんの著作で紹介されているジャズを聴き比べて感想を書いてみようという記事です。当時の雰囲気の中で聴いたジャズと、現在から俯瞰するジャズを取り巻く環境は大きく違って見えると思います。しかし、その芯になる音楽そのものは変わることはありません。その変化を楽しむの、ジャズという音楽の面白いところでしょう。

今回聴いた曲

エゴ(”Ego”/Tony Williams Lifetime)

トニー・ウィリアムスが率いたフュージョンバンドのアルバムです。

ドラマーということで、なんとなくパーカッションとかがバリバリ入った曲なのかなという先入観を持ってしまいましたが、ドラムソロオンリーのアルバムではなく、ちゃんとしたバンドの楽曲でした。先入観というのは、嫌なものですね。

植草さんが言及されていた、マム・アンド・ダッドという曲。シンセサイザーとエレキギターが主旋律なのかと思いますが、テーマらしいテーマもなく、なんとなく始まり、終わるという不思議な曲です。パーカッションの小気味良さが気持ちが良い。このあたりは、ドラマー出身の本領と言えるのかもしれません。ステレオ効果で音を左右に振ったりするところは、この時代らしい曲と言えるでしょう。

アルバート・アイラー・ラスト・レコーディング(”The Last Album”/Albert Ayler)

「剥き出しの攻撃性」と言われた、アルバート・アイラ―の死の直前にレコーディングsれたアルバムです。34歳で自殺したと言われています。

Untitled Duet

エレキギターとムエタイの笛のような不思議な組み合わせ。何でか知らないが、それなりに調和しているように聴こえます。

Toiling

ブルースサウンドがカッコいい。アイラーのサックスもちょい泥臭く響き、良い感じだ。

Desert blood

こんな曲よく思い付くなと感心してしまう。どこか中近東の国をイメージしたのでしょうか、なんとなくアラビア的な音を感じます。二人の男性の歌声が掛け合い、民謡のような、砂漠の民族に伝わるワークソングのような不思議さを出しています。

Water music

ピアノと弓で引くベースが繊細で、サックスもそれ似合わせて気持ちよくインプロビゼーションを聞かせている。

チャーリー・ミンガス・グレート・コンサート(”The Great Concert of Charles Mingus”)

ミンガスのベースはなぜこんなにリラックスできるのだろうか?エリック・ドルフィーが好き勝手に吹いたあとでも、ミンガスのベースが入ると、ピタリとハマります。ミンガスのバンドコントロールがうますぎるのか?

ジャッキー・バイヤードのピアノとの相性が良いような気がします。フリージャズであっても緊張感や問いかけみたいなものを、聴く側に押し付けたり強制したりしない、おおらかさを感じます。

アウトプット(”Output”/Wolgang Dauner)

人を喰った曲です。はじめはスパニッシュ風で始まり、「おっ?正統派か」と思わせておいて、途中からいきなりエレクトロにまります。ノコギリを弓で引いて音を出したり、ピアノの弦に何が叩きつけて見たりと、楽器から出る音をとにかく絞り出してる感じです。

最後は演奏者が4人でマイクに向かって吠えたり、ゲーゲー言ってみたりとやりたい放題で終わっていく。まぁ、前衛ジャズだったということですね。

ヴァイオリン日記(”Journal Violone”/Barre Phillips)

ウッドベースのプレイヤーが前衛的なソロをやろうとすると、こうなるのだろうなという納得はいくが、正直なかなか楽しめるものでもないと思います。しかし、聞くと憂うつになるかというと、そうでもない。

一つの楽器から、いろいろな音を出そうと模索していて、次はどんな音が出てくるのだろうという聞き方はあると思います。植草さんは、きっとそんな楽しみ方をしたのでしょう。エレキベースが一般的になった現在では、なかなか聴くことの叶わない体験です。


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