AIの時代に手に職を持つことは古いのか?

働き方

1980年代以前、日本の大衆は手に職を持つのは有利なことだと言い聞かされてきました。オイルショックやなべ底景気など、不景気の時代を通り抜けてきた世代にとっては手に職を持つことは生きることの保証であり、カネもコメもないという貧窮に対する知恵だったのだと思います。

やがてバブル景気がやって来て、それまでの価値観がいったんは破壊されました。土地神話や投資などの華やかな時代には、手に職をつける時間があれば、金融や株式の勉強に充てた方が効率がよかったのです。

将来の職業分類とAIの浸透

『10年後に食える仕事 食えない仕事』(渡邉正裕 東洋経済新報社)によれば、将来の仕事は5種類に分けることができるそうです。

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ロボティクス失業

機械やITに置き換わり、失業リスクが高い

手先ジョブ

人間の手先が必要不可欠で、永遠に残り続ける

職人プレミアム

テクノロジーとは無縁で、雇用は安定

AI・ブロックチェーン失業

中核業務は無人化・自動かが不可避

デジタル・ケンタウロス

AIを乗りこなし、人間の強みを発揮

この分類で、実質的に目指すのはデジタル・ケンタウロスではないでしょうか。

手先ジョブ・職人プレミアムは、一昔前の手に職をつけることからつながっていますが、職人の技術をAIがどんどん吸い取っていく時代においては、常に消費され、新しいものを作り出さなければ置いていかれる厳しい立場のように思えます。

手に職をつけることは、昔のような意味ではなくなるのでしょう。人間しかできないことがテクノロジーによって意味が変化しているのです。職人が職人へ伝えていくようなことは、なくなっていきます。ビッグデータとAIによって職人の技術が再現され、しかも最適化されてしまうので、クリエイティビティが無いような職人技にはAIとの競争力はあまりありません。

他の分野の将来性を考えてみる

AI・ブロックチェーンについては、金融業務や窓口業務など、人が対応しなくてもカネの流れはすべて自動になるということと理解しています。不正不可能なブロックチェーン技術が実用になれば確認作業すら不要です。経理部門・財務部門もアウトソーシングが進むでしょう。

そうなると監査部門をどのようにするのかが求められてきます。不正なカネの流れを突き止めることに、テクノロジーの知識や専門家の協力がどうしても必要になるからです。金融や会計に関わるとすれば、この部分には将来性があると思います。

法務部門や士業に関しても、デジタル化が進めば、人を介す必要のなくなる日が来るでしょう。法を覚える、応用する、似た事例を探すなどの作業は、いまや人間がするべきではなくなっています。

弁護士や検事は、すでに過去事例や証拠提出などの抽出を、データベースを使って行うように義務付けられており、簡単な裁判であれば、出廷する必要もなく裁定が下ることもあるのです。どのように判断するかは別としても、人間が扱うべき案件以外はすべてAIによる裁決されるように移行していくでしょう。

消防・警察・医療などの公共サービス分野では、顔認証によるAI利用が進むでしょう。監視カメラでの防災、遠隔医療などで、人が対応していたことを少なくするように変化していくことで、人口の減少に対応すると思われます。

水道・電気・ガスなどのインフラについては、運用や監視についてはロボット化は進むが、工事は人がやるという逆転現象が起こるようです。確かに工事用のロボットも目覚ましい進歩を遂げていますが、インフラをすべてロボットに任すことは危険な判断でしょう。緊急時に備えて、手先ジョブが残ります。

手に職を持つの意味が変わる

デジタル・ケンタウロスとして、AIを乗りこなすのは、通常の教育を受けたいままでの人材では難しいでしょう。これから社会に出るような人材がSTEAM教育をうけ、分析・未来予測・AIを用いての顧客の開拓などの業務を担当することになるわけです。

ツールの利用の仕方が同じでは、同じ結果しか出ません。ビッグデータのマイニングのセンスを教育でカバーできるかは疑問です。センスは人間の大きな武器として残る分野になるでしょう。センスの塊のようなマーケティング分野は、学ぶ人は学ぶし、学ばないひとはとことん理解できない世界へと進んでいくと思われます。

手に職を持つという意味が、将来はAIを使いこなすセンスを身に着けているかどうかということに集約されていくのです。なにせ、他の手仕事はほぼロボットに代替可能になっているからです。

テクノロジーに頼ることが必ずしも良い将来とは言えない

ところで、ロボティクスが進み何もかもすべてロボットやAIにゆだねてしまったら、どのような社会になっていくのでしょう。

国家という概念は残ると思います。一見すると、テクノロジーによってグローバル企業が世界を支配しているように思えますが、国家というものはそれほど簡単に揺らぐものではありません。むしろ、国家に寄り添ってこそグローバル企業は利益を上げることができるのです。

しかし、国家とテクノロジーの対立が深まるか、融合するかはその国民性によるところがあります。融合する場合は、とことんテクノロジーにすべてをゆだねることになり、人間がコントロールする領域を凌駕するのではないでしょうか。

特に金融に関してはテクノロジーが暴走して歯止めをかけられない場合、小国などは簡単に破綻することもあり得る話です。アイスランドやアフリカなどでは、金融システムが安定する前にテクノロジーのほうが先に整備されてしまう可能性もあるのです。

また、国家が強権を発揮してテクノロジーを制限する権利を維持しつづけると、テクノロジーが自由になった国との格差が顕著になり、国民の理解を得にくい結果になるでしょう。

ロシアはインターネットを一時的に閉鎖することもできるような、強権を維持する国家です。中国もグレートファイアウォールを持っています。このような情報制限する国家が成功すれば、それがスタンダードになるのと思われます。特に中国のやり方が世界に注目されているのは、情報を制限しつつも物流などはグローバル化に成功し、成長を続けているからです。

中国の「一帯一路」構想が本当に実現したときに、果たして今の中国の在り方はどうなるのか、関心を集めているといえるでしょう。


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