春のたけのこ

リラックス

家の中に閉じ込められてはいますが、季節は春になりました。もう、東京では葉桜になり、5月の花、つつじが咲き始めています。あいかわらず安定しない天気ですが、雨も心持ち暖かくなり、寒い日の朝の激しい頭痛からすこし解放されつつあります。

行きと帰りで異なる風景

駅から仕事場まで、歩くとちょうど25分かかります。普段、ろくに運動をしない自分にとっては、この往復は丁度良い気分転換になっています。住宅街を通り抜けていく近道は、冴えない風景でしかありませんが、厳冬期とちがって雑草や街路樹など、花をつけているものが多く、目を楽しませてくれるのです。

その道の途中で結構気に入っているのは、元中学校だった建物の脇を通るときです。青い針金のフェンス越しに、竹林が見えます。管理されているとは言い難い、雑草交じりの竹林だけど、竹は青々として風にさらさらと葉をなびかせる姿は、風情を感じるので好きです。

朝、竹林の傍を通りかかったときに、フェンスからはみだして敷地外に生えている、たけのこを見つけました。キノコとタケノコではキノコ派なのですが、このたけのこを見たときには、春らしさと生きている植物のたくましさを感じてほのぼのとしてしまいます。

このままズンズン伸びていったら、誰かに切られてしまうのだろうか。それとも収穫されてしまうのかな。そんなことを考えながら、朝は通り過ぎました。

その日の夜の帰り道、あのたけのこはどうしただろう、伸びたかな。探してみましたがどうも見つかりません。暗いし、まだ土から10cmくらいしかでていないので見つけにくいのでしょうが、記憶のとおりの場所をゆっくり歩きながら眺めて探しても、たけのこはありませんでした。

次の日の朝には、気になっていたのでちらちらと地面を探りながら歩いていると、おや、ちゃんと、たけのこはありました。なんで昨晩は見えなかったのだろう。たけのこの皮はたしかに薄暗いなかではカモフラージュされて見つけにくいのでしょう。だけど、同じ場所にあるのだから見つけられてもいいだろうに。

行きと帰りで道は同じでも風景はちがうのです。子供のころに読んだ「お化け地蔵」のはなしを思い出します。行きと帰りで、お地蔵さまの数が合わないというお話です。たけのこも、見つけられまいとして夜は隠れているのかもしれませんね。

春と雨

春の雨は慈雨という感じがします。冬をやり過ごした草木に目覚めをうながし、伸びよ、花をさかせよ、と合図しているようです。春雷とともにやってくる雨は、季節が移ろっていく印として認知されているのでしょう。

沖縄県の焼酎、泡盛に「カリー春雨」という銘柄があります。戦争でなにもかも無くしたが、命だけは助かった。季節は移り変わり、また暖かい春の雨もやってくるじゃないか。そんな自然のたくましさに、あやかって名付けられたお酒です。この逸話がとても好きで、泡盛を吞むのが好きになりました。

あの、たけのこも数日すれば立派な竹になるでしょう。春の雨の恵みをいっぱいにうけて、まっすぐな竹が伸びる姿を思い描くのは気持ちがいいものです。

筍の味

雨の日は、読書に疲れたら昼寝をたっぷりして、目の疲れを取るようにします。ざぁざぁと降る雨は久しぶりだけど、あたたかい寝床にはちょうど良いBGMです。

夕飯の食卓には、たけのこの炊き合わせが並びました。もちろん、あのたけのこではありませんが、これも季節の巡り合わせと思い、美味しく頂きました。

たけのこは柔らかく煮られていて、しかもコリコリとして良い味でした。出汁も沁みていて、この時期にしか楽しめない、旬というものを感じさせます。水煮のたけのこはいつでも買えるけれど、保存料が使われているせいなのか、すこし味に癖があります。食材としては便利、だけど、ちょっと違うかな。食卓の主役に据えるには、風情が足りないのです。

ほかには、ひじきの煮物、茶花豆、じゃこをたくさん乗せたサラダなど。いずれもおいしくいただきました。食卓に華やかさを添えてくれた、春の雨に感謝です。


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