新薬開発競争は政府の規制緩和に影響を及ぼす

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新型コロナウィルスの特効薬をめざして、世界中の製薬会社やスタートアップが激しい開発競争を繰り広げています。もちろん、喜ばしいことではありますが、医薬品の開発にはギャンブルのようなものが付き物です。もし、検証から漏れていた副作用でひどいことになってしまったらと考えると、なかなか承認を得られない可能性もあります。

アビガンはなぜ注目されるのか

富士フィルムHDが開発した抗インフルエンザウィルス剤、アビガンは、新型コロナ対策で一躍有名になりました。いまは臨床試験を行っている状況ですが、重症者でも6割改善されるという効果が正式に認められれば、量産体制に入る準備をしているようです。

アビガンは既存の薬です。基礎研究や動物実験などはすでに終わっている状態から、治験を始められたので早く提供できる可能性があります。治験も、今ではAIなどを利用してかなり早く進められるので、2020年6月末の承認には現実性があると思います。

第一次世界大戦時に猛威を振るったスペイン風邪も、流行に第2波、第3波があり、新型コロナでも同じようになる可能性はあります。先進国が対策を講じても、後進国には医療品が行きわたるのは後になり、ブーメランのように大流行が戻ってくる可能性があります。そして、経済には大打撃を与えるでしょう。ビル・ゲイツ氏が提言するように、もはや国家単位で対応することは不可能です。グローバルな視点で支援の手をうたなければ、コロナ禍からはなかなか抜け出せないでしょう。

新薬ができるまでは10年かかる

日本では、新薬の開発に10年かかると言われています。

まずは、基礎研究から。製薬会社は優秀な人材を確保し、最新のラボを維持しなければなりません。分子レベルでの有効物質の組み合わせを行い、最適な薬を開発しています。聞いただけで莫大な維持費がかかるのは間違いないですね。

メディカル分野は競争が激しく、最新のテクノロジーを駆使しないとあっというまに駆逐されてしまいます。設備投資や人材採用には費用を惜しんでいては、ままならないのです。しかも、最近はAIを駆使した医療のスタートアップもたくさんできています。一発当たれば大儲けできる可能性は、投資家たちを熱くさせるでしょう。

有望な物質が見つかると、こんどは動物実験で効果を確認します。日経新聞によると、動物実験につかうマウスやサルなどといった動物にも遺伝子書き換えによって効率化がすすんでいるのだとか。痴呆症になりやすいマウスや、病気にかかりやすいサルなどが作り出されているのです。なんか、一昔前の安いSFマンガの設定のようなことが現実に起きているのですね。

効果と副作用とを確認するために、人に薬を投与して治験という工程にはいります。治験コーディネーターという、治験専門の係がデータをとり、人体への影響を記録、ケアします。このデータが揃って、初めて厚生省に申請ができます。厚生省は、データを検証し認められれば承認がおります。これでやっと新薬が発売されるのです。

このような工程をすべて通すと、約10年ということですね。諸外国は3年~5年といいますから、日本は時間がかかるのです。

規制緩和と薬害のはざま

新薬の開発のスピードが早ければいいのかというと、それは品質と納期のバランスの問題です。もし、スピード承認した新薬が、おもわぬ副作用で薬禍をおこしてしまったら、それこそ本末転倒です。十分に検討するには、どうしても時間がかかり慎重に行わなくてはならないことは理解できるでしょう。

しかし、最近ではAIの利用やゲノム解析など、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションするということも積極的に行われています。工程の短縮のために、IT技術を使うことはもはや常識です。新型コロナのワクチン開発でも、日本の富岳という、スーパーコンピュータが使われることになっています。量子コンピュータやグリッドといったシステムが注目されているのです。

ではその流れに乗ればいいのかというと、なかなか踏み切れないかもしれません。サリドマイドという睡眠薬が発売された際、それを使った女性から生まれた子供は、手足を形成する遺伝子に異常を起こしてしまう可能性があることが分かりました。そのような前例は、無視できません。やはり人間の身体はまだまだ未知の分野であることが想像に難くありません。

時間をかければ、救えたはずの人命が失われる。しかし、副作用により二次被害が起こるのは避けたい。医薬品開発の現場は、そういう板挟みの間にあるのでしょう。判断を下すのは重いのです。


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