チック・コリアの『Now He Sings, Now He Sobs』

ジャズ

ジャズ・ピアニスト、キーボードプレイヤーのチック・コリアは、その多作ぶりで知られています。キャリアも長いし、一年に2枚、3枚とアルバムを出すという超人的な多作家ぶりです。

名曲も多く、スタンダードになったものもあります。作曲家としての腕が素晴らしいのでしょう。どうしても、多芸多作な作家については世間の評価(おもに日本的な視点でしょうけど)が辛くなりますが、チック・コリアについては、どの曲も一定水準を超えていると思っています。

チック・コリアという「標準」

1964年にキャリアを開始したというから、超大物プレイヤーなのですが、管理人にとっては、なんとなく親しみやすく、貫禄はそれほどうけません。これは、管理人の耳がチック・コリアのプレイを「標準」として認識しているからでしょう。一番、長く聞いているアーティストのひとりですから。

チック・コリアの経歴もなんとなく「これ一本」という感じではありません。ジャズプレイヤーとして一貫しているのですが、マイルス・ディビスのバンドに加入していたときは、キレキレのプレイを聴かせます。その後はエレクトリックに、アコースティックにといろいろな音楽活動を楽しんでいるかのようです。スモールコンボでのテクニックで唸らせたかと思うと、名曲『スペイン』ではオーケストラと共演するなど、その変幻自在な存在感はさすがです。

日本にも度々コンサートを開催しているので、なんとなく馴染みがあるのでしょうか。もう78歳ですから、無理はできないでしょうけど、チック・コリアは、なんだかいつまでも精力的に活動していそうな、そんなプレイヤーの一人です。キャリアの長さでいうと、オスカー・ピーターソンみたいな感じかな。

エレクトリックも自由自在

管理人は、チック・コリアの演奏はエレクトリックの時代のアルバムから入りました。やはり、「リターン・トゥ・フォーエバー」の時代、かっこよかったですね。アルバムではもちろん、『リターン・トゥ・フォーエバー』、『第7銀河の讃歌』、『ノー・ミステリー』、『浪漫の騎士』と名作ばかり。よくぞこれだけ作ったなと、関心するほどです。

「チック・コリア・エレクトリック・バンド」では、『ライト・イヤーズ』、『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』(ゲームタイトルではない)、『インサイド・アウト』、『ビニース・ザ・マスク』と、こちらも充実しています。軽いタッチでありながら、ジャズ・ロックを存分に堪能できるところが好きでした。

もちろん、アコースティックの活動も同時並行でやっています。そこがチックの並外れたところでしょう。『マイ・スパニッシュ・ハート』、『チック・コリア&オリジン』、そしてグラミー賞をとった『スタンダーズ・アンド・モア』など。こんな多作な人はそうそういないでしょうね。

”Now He Sings, Now He Sobs”

アコースティックで特に素晴らしいのは、『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブズ』(1968)ですね。ミロスラフ・ヴィトウス、ロイ・ヘインズのトリオでレコーディングされたこのアルバムは、すべて名曲というか、チックのピアノが神掛かっているという感じがします。キレのあるピアノと、澄んだベースとの絡みが緊張感を醸し出し、その場に居合わせたら息をするのも忘れるかもしれないような、一種の空間を作り出しているようです。

濃密でありながら、その澄んだ感じはチックの作曲能力と演奏テクニックが融合しているところにあります。若い頃だったから気迫が籠もっていたというのもあるかもしれませんが、その卓越したテクニックは後のリターン・トゥ・フォーエバーにつながっていきました。チックの曲には、簡単そうにサラッとやっているけど、実はすごい演奏をしているのだなと、分かる瞬間があると思います。耳が肥えてくると、そこにようやく気がつけるのです。

もちろん、他のプレイヤーにもそのようなことを感じることはありますが、それでもキャリア後半の「控えめ」なチックの演奏には、わざわざそのようなことを主張しない円熟さがありますね。その点、『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブズ』のレコーディングには、全部出し切るという気魂があるように思えます。

ただ、ひとつ疑問なのは、このアルバムに収録されている、”Now He Beats the Drums, Now He Stops” という曲のタイトルです。これはどのような経緯でつけられたタイトルなのか知りたいと思っています。植草甚一さんの本には「太鼓を叩いたと思うとやめている」という和訳でしたけど、そんなものなのかな、と疑問に思っているのでした。

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