見えない糸の謎、見える糸の幻想

リラックス

『ONE PIECE』に出てきた王下七武海の一員、ドンキホーテ・ドフラミンゴの能力は、「イトイトの実」。糸を操って移動に使ったり、武器としても使います。また、他人を操り人形のように操ることも可能な、なかなか素敵な能力です。

糸というのは、いろいろな意味で使われます。ある意味では、絆のことだったり、手がかり、つながり、など。また、織物に使う縦糸、横糸という言葉も、推理小説にはよく出てくる比喩ですね。

ジョニー君、ジャンプ!

最近はあまり見なくなりましたが、道端で驚異の紙人形「ジョニー君」を売っている露天商を見かけることがあります。ジョニー君とは、ピエロの格好をしている、紙を切り抜いただけのペラペラの人形です。このジョニー君が、紹介している人の言葉どおり、ピョコピョコと動くのです。

「ジョニー君、おじぎ!」というと、お辞儀します。ジャンプといえば、ぴょんと飛び跳ねるのです。どう見ても、糸で操っているとしか思えないのですが、その糸がないことを強調するのが、この商売の見せ所です。たしかに、「ほら、糸なんてありませんよ」と言いながら、ジョニー君の頭の上で手を降っても、引っかかった様子はありません。なにもないように思えるのです。ではどうやってジョニー君は動いているのでしょうか?

正解は、インビジブルスレッドという、手品用の見えにくい糸で引っ張っているだけです。お客さんのなかにサクラがいて、バッグなどで手を隠して、ひもをちょいちょいと、操ります。紙人形のすこし横から糸が出ているので、真上を手で触っても糸に触れないのです。

この、手品用の糸というのが秘密であり、実際に露天商から買ったジョニー君には、釣り糸しかついていません。とうぜん、素人が真似をしても、タネが丸見えですからバレバレです。でも、そこがこの商売の面白いところと言えるでしょう。

単分子ワイヤーという幻想

細い糸で強靭なものというと、SFなどに出てくる「単分子ワイヤー」を想像しますね。分子が強固な形状で結合していて、細い所だと、分子レベルの厚さしかないというアイテムです。これを使ったSFとしては、ウィリアム・ギブスンの『記憶屋ジョニー』に出てくる殺し屋を思い出します。この短編は、キアヌ・リーブス主演の『JM』という映画になっていて、ビートたけしがヤクザ役で出演していました。映画のなかにも、たしかワイヤーを操る殺し屋が出てきたかと思います。

また、ワイヤーを使う強力な殺し屋といえば、『HELLSING』に出てくるウォルターですかね。特殊な極細ワイヤーを使って、いろんなものを切り刻んでいました。まあ、いろいろと狂ったマンガなので誇張表現が大きいのですが、街中のビルディングなども、ウォルターのワイヤーで切り裂いたり、からめて投げつけたりしていたような気がします。読んだのもだいぶ前なので忘れてしまいましたが、なかなかインパクトが大きかったです。

一分子分の厚さしか無い物質というのは無理があるかもしれませんが、カーボンナノチューブを実際に作る技術がでてきたことで、意外に現実味を帯びてきました。このようなナノテクノロジーが続々と生まれてきているのを見ると、本当に細くて強靭なワイヤーが作れるような気がします。まあ、ビルは切り刻めないでしょうけど、SFファンとしては、新素材ってワクワクします。

ナゲナワグモのスゴ技

糸を自在に操る生き物としては、メジャーなのは蜘蛛ですよね。糸で巣を作るのはもちろん、ぶら下がって移動したり、糸を帆の代わりにつかって空を飛んだりする、糸使いのエキスパートと言えるでしょう。蜘蛛はダニやサソリの近縁種ということですが、ダニとかは糸をつかって移動したりはしないのではないでしょうか。進化というのは面白いものですね。

蜘蛛のなかでも、特に面白い糸の使い方をするのがナゲナワグモです。北アメリカにすむナゲナワグモ属の蜘蛛は、自分の糸を手に持って、ぐるんぐるん振り回し、捕食する昆虫などに投げつけます。糸の先端には、ベタベタする成分でできた玉がついていて、それが相手にくっついて捕獲できるわけです。こんな捕食のしかた、どうやって進化のなかで会得したのかわからないところがミステリアスです。

蜘蛛の先祖は、この糸になる成分を何に使っていたのでしょう。ヌタウナギのような、皮膚の表面を保護する粘液だったのかもしれません。なんにせよ、その一部が地上に進出して、環境適応の結果、糸として使えるようになったのでしょうから、不思議なものです。それとも、本当に地球外生物がたまたま同じ地球という環境に住んでいるだけなのでしょうかね。


いつも読んでいただいてありがとうございます。クリックしていただければ励みになります。いつも皆さまがリラックスしていられるように。

コメント

タイトルとURLをコピーしました