仲間を判別するにはどのような戦略が働いているのか

リラックス

2020年8月9日にアメリカ・シカゴの中心街で大規模な略奪行為が行われました。大統領選挙を間近に控えたアメリカでは、人種差別問題が社会を揺るがしています。しかしこの略奪は、SNSで間違った情報が拡散されたために引き起こされたという側面も持っているのです。

「非武装の黒人少年が警官に銃撃された」との誤報が暴徒たちの行動の背中を押したと言えるでしょう。デモや抗議を行うならまだ理由が分かりますが、なぜ略奪行為に走るのか。これは国民性なのでしょうか。日本でも同じようにSNSが大きな力を持っています。渋谷や新宿で突然、略奪行為が行われることだってあるかもしれません。

仲間とそうでないものの判別

略奪行為はどさくさに紛れることができるという機会が与えられただけかもしれません。「誰かがやっていれば、自分も」というだけで、人は簡単に悪の道に走ることがあります。常にグレーゾーンを抱えているのです。

しかし、もとはといえば人種差別的な問題が根本にあります。アメリカの警官が黒人に対してあまりにも容赦ない行為を行うことも確かにあります。『トーキング・トゥ・ストレンジャーズ』(マルコム・グラッドウェル、光文社)という本に書かれていましたが、犯罪を防止するには、些細なことでも見逃さないということが非常に重要だという、司法側のドクトリンがあるのです。

ここに人種差別的な要素はないのかというと、それは完全にないとは言えません。統計を見れば、黒人のほうが警察に逮捕されやすいのです。根本には公民権運動以前の人種差別的な意見が残っていると言えるのではないでしょうか。

仲間とそうでない者を区別するのはとてもむずかしい問題です。よく知っている人であれば人間は簡単に信じてしまいます。そうでない、よく知らない人に対しては、外見と仕草でしか判断できません。怪しいと思えるような外見や行為をしていれば、それは犯罪者として分類されてしまいます。違う人種の他人の表情を正確に捉えることはとても難しいので、白人と黒人の間に軋轢が生まれやすいと言えます。

家族の絆

家族ならば、誰でもよく知っているので信頼できると頭から信じている人が多いでしょう。しかし、実際にはどうしてそのように言えるのか、根拠があるようで無いと言えます。例えば、父親、母親と一緒に20年も暮らしていれば、その人の性格や癖、動き方や考え方などもすべて解ったような気になります。身近にいるのですから当然でしょう。しかし、本当のところは本人以外には誰もわかりません。たとえ一緒に暮らしていても、理解できないことが多くあるのです。家族は、そのことを見て見ぬ振りをしたり、いつものことだからと受け流しているだけであり、理解しているとは言い難いこともあります。

ただ、同じ場所で同じ生活をして、同じものを食べている、話していると自然と嗜好が似てくるのは当たり前かもしれません。子供は特に顕著です。子供の世界が広がるまでは、親との生活が子供のすべてであるわけですし、親に気に入られようとしなければ子供としては依存するものがなくて生存が困難になります。反抗期というものがなかったら、自我の形成に大きなハンディを背負うことになります。

家族の絆として、血の繋がりというものが果たしてあるのかは謎です。親からすると、血肉を分けた自分の子供が他の子より可愛いという理由に支えられています。子供の側からすれば自我が確立する前は生存本能で親にくっついているし、自我が確立したあとでは、理性によって親を他人よりも大切に思うようになるのでしょう。後天的なものも大きいのです。

サムライアリの生き方

サムライアリという種類のアリがいます。このアリは他の種類のアリを奴隷化するという、特殊な生態を持っています。まず、サムライアリの女王アリは、交尾を終えると単身でクロヤマアリの巣に侵入します。その巣の女王アリを噛み殺し、そのフェロモンを纏ってクロヤマアリの女王になりすますのです。

クロヤマアリの働きアリたちは、サムライアリの女王を世話するようになります。サムライアリの女王が生むのはもちろんサムライアリですから、クロヤマアリたちはそれ以上、増えることはありません。

サムライアリのワーカーは、誘拐を専門としています。他のクロヤマアリの巣を襲って、卵や蛹を奪ってきます。こうして奴隷を補充しながらサムライアリは生きていくのです。サムライアリ自体が働くことは無いのですから、このような生態を生み出した自然の摂理というものがいかに巧妙かは驚くほどです。

他の巣から奪ってきたクロヤマアリたちが、サムライアリをどうして世話をするのか不思議ですね。フェロモンが違うのに、生まれ出た場所ということで、その環境を変だとは考えないとしか思えません。それとも、さらに巧妙な仕掛けがあるのかもしれません。

誘拐犯と仲良くするということでは、ストックホルム症候群ということがよく知られています。人質に取られた側が、生存戦略のために誘拐犯と仲良くしようとすることです。1996年に起きた、ペルー日本大使公邸占拠事件でも、約4ヶ月という長いあいだに、犯人と人質がサッカーをするくらい親しくなっていました。巣を占拠されたクロヤマアリの生存戦略として、同じように振る舞うようになっているのかもしれませんね。


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