中国人を理解する、その厚黒の思想とは

働き方

中国はGDP世界2位の超大国です。経済的発展で見た場合、日本は凋落の一途を辿っていますが、中国の経済成長は留まる所を知りません。中国の経済成長がなければ、世界経済が回っていかないほどの影響力があるようになりました。

経済だけではなく、最近では政治的な活動も積極的に行っています。チベット方面への進出。香港への言語統制。日本海、東シナ海方面への威嚇的な軍事活動、そしてアメリカとの対立などです。共産党政府が望んだこともあれば、そうでないこともありますが、一党独裁の強みとして大胆で積極的な政策方針を打ち出せるようになってきています。これらの背景には「厚黒」の思想にシンボライズされる中国人独特の考え方が裏付けになっているのです。

厚黒の思想とは

『中国人の面の皮』(若宮清、祥伝社)によると、厚黒の思想とは1911年、李宗吾という人が提唱した、「厚黒学」という生きるための方法論によるものです。限りなく面の皮を厚くし、腹黒く生きること、これこそが中国人の生きる指針となる、と言う内容です。この思想は単なる個人の考え方ではなく、それまでの中華王朝の歴史、世俗史を研究した結果でもあります。

歴史的に見ると、中国の中央政権は民衆に対しては負担でしかありませんでした。戦争を引き起こし、重税を取り、法や規制を押し付けてくるという厄介なものです。それに対して庶民は個人主義を貫きます。自分を守ってくれるのは自分だけという、徹底したものです。一応、その範囲には家族親戚も入りますが、自分に利益をもたらさない親族は切り捨てるというドライさも持ち合わせています。

面の皮を厚くし、その場、その時に応じていくらでも態度を変えることを厭わない。また、拝金主義を是とし、お金を稼ぐことと消費することは、人生で重要なことであることを隠しません。相手が利益をもたらしてくれるようであればいくらでも友好的な態度をとります。しかし、利益的なものが望めないことが分かるととたんに態度を変え、取り付く島もないようになる冷淡になることも普通です。

中国人の最も好む人生の在り方は「富貴」です。厚黒の思考を極めると、表面上はいかにも分別者らしく、重々しく見えます。しかし、腹の中ではちゃんと利益を計算しているのです。これは、いかにも人生に熟れた風、練達の士というように見えます。この「富貴」をまっすぐ目指しているのが中国人の本分というわけです。

近現代の中国で実践されている思考法

中国でこの厚黒の思考を最も実践的に使ったのが、中華人民共和国の生みの親、毛沢東です。毛沢東は計算高い戦術家であり、厚顔の練達な政治家でもありました。中国共産党を把握し、国民党と日本の共倒れを狙い「国共合作」を行います。日本が大陸から撤退すると、今度は国民党を台湾に追いやり、他大陸を把握するのです。この天才的な戦術眼は毛沢東の真骨頂と言えるべき偉大な成果でした。

政権を把握し、共産党一党独裁という体制をつくります。現実的には、毛沢東王朝とでも言うべき政治構造になっていました。本来、中国という国には中央に皇帝がいて、すべてを自分のものとする政治体制が必要なのです。民主主義的政治には向かない国という側面があります。

厚黒の思想が最も生かされたのは、文化大革命でしょう。毛沢東の権力回復の野望のために、知識人や地方の役人、中央の為政者が失脚しました。文化大革命で中国の近代化が遅れたというのが定説ですが、起こるべくして起こった運動でもあったのです。権力を握るためには、どのような態度も辞さないというのが厚黒の思想に合致していたのです。

その後、この方針は中国共産党のトップに受け継がれていくことになります。経済を開放したが、政治は民主化しなかった、天安門事件の鄧小平などは、毛沢東と同じ路線であったと言っていいのです。

「文化の違い」で片付けるべきではない

ここまで見てきた厚黒の思想は、どうも日本には受け入れられないもののように思えます。日本は、金のことをあからさまにとやかく言うのはなんとなくタブー視されています。また、思考をその時の都合で変えるような人間は、一貫性がない、誠意がないとみなされる向きも少なくありません。

しかし、これは日本だけにおけるガラパゴス的な思想にすぎません。外敵がほとんど居なく、単一民族として侵略をうけなかった日本だけに通じる思考なのです。グローバルスタンダードは、むしろ厚黒学にあります。成熟した大人の思想がそこにあるからです。

日本が幼稚な国民性と言われるのは、太平洋戦争が終わってアメリカの富によって国民性を変えられたからでもありますが、もともとそのような素地があったのでしょう。文化の違いなのだからと自身を正当化せずに、大人の考え方、厚黒の思想を根に据えて、したたかに国際社会を生きる方面に尽力するべきなのだと思います。コミュ力を高めるよりは個人主義を貫いたほうが、世界に受け入れられる人材になれるのです。


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