チック・コリアの世界、色彩の豊かな音

ジャズ

ジャズ・ピアニストのチック・コリア氏が2021年2月9日に79歳で死去しました。

死因は癌だそうです。

群を抜く多作家で、アコースティックからエレクトリック、ジャズ、フュージョン、ソロでも、スモールコンボでも、またはオーケストラとの共演だってこなしてしまう、偉大な才能でした。

チック・コリアの思い出

自分としての、チック・コリアの思い出としては、やはりフュージョンの先駆者としての認識があります。

中学生から高校生のころ、まだジャズなんて何も分かっていない自分は、チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」というグループのアルバムに惹かれました。

アル・ディ・メオラがメンバーとして参加していたところから入ったのですが、その音に驚きました。

色彩が豊かというか、変幻自在のキーボードが圧巻なのです。あるときは悲しげ、寂しげな音が、別の箇所では一気に輝きを放ち、光をまとった翼のようになる。そしてあるところではユーモアさえも感じさせるのですから、すごい表現力、テクニックなわけです。

当時、未熟な聴手であった自分には、「すごい」ということしかわからなかったのですが、曲全体に散りばめられた音の破片をこうも鮮やかに組み合わせ、パッとすごいものに仕上げて見せてくれるという楽しみがあり、飽きが来ないプレイヤーだなと考えたことを思い出します。

昔むかし、まだカセットテープというものがあった時代、CDからカセットに録音するのがとにかく楽しくて趣味にしていたのです。今思えば、たいして意味なんかなかったのですが、そうして少しでも自分のものにしたかったという思いはあったのでしょう。

チック・コリアの音楽を、カセットテープで聴いたことを思い出します。当時は新作をどんどん出す、新進気鋭のジャズプレイヤーでした。そんなチックも、亡くなってしまうのですから、時代の変化というのは「無常」であるとしか言えないですね…

自分の好きな曲

チック・コリアの曲は捨てる所のないアンコウのようなもので、骨も皮もおいしくしゃぶり続けることができるものです。初めて聴いてから数十年経ったいまでも飽きずに聴いているのですから、よほど自分の血肉となり、滋養となってくれた音楽であると思います。

そんななか、好きな曲を挙げるとすれば、まずは『スペイン』でしょう。この曲はとにかくカッコいいのです。何度聴いても飽きず、しかもいろいろな機会にまた違ったスタイルのプレイが聴けるのですから、やはりチック・コリアの代表作となるのではないでしょうか。

ソロでもコンボでも、どんなスタイルで奏でても、『スペイン』という曲は色褪せることがない金字塔のような曲だと思います。小学生の吹奏楽で聴いてもきっとカッコいいのです。

次に挙げるならば『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブズ』を取り上げなくてはなりません。このピアノのキレのよさは、初期のチックの心血が注がれたものだと思います。

なんでもこなす才能というのは、そのジャンル一本でやっている人と比べられると、軽んじられることがあります。しかし、このアコースティックのプレイができるテクニックがあったからこそ、チック・コリアというプレイヤーはエレクトリックであろうが何だろうが、素晴らしいものに仕上げることができたのです。

セニョール・マウス』もいい曲です。『Hymn Of The Seventh Galaxy』に収録されているバージョンを聴きましたが、この曲を聞くと高揚しますね。スピード感、緻密な音、エレピの切れ味といった各要素がバランス良く詰め込まれていて、ぐいぐいと前へ前へと引っ張っていきます。

まあ、何を取り上げてもやはりチック・コリアは素晴らしいです。多作ですから、曲をたくさん残してくれました。まだ聴いたことのないアルバムもあるので、多くの楽しみをくれたことに感謝しなくてはいけません。

機会を逃すことは、後悔を生む

そうは言っても、もう生のチック・コリアの演奏を聞くことはできないのです。

日本贔屓のジャズプレイヤーでしたから、また日本に来る機会があるかもなんて思って、結局、生のステージを見ることは叶わなかったわけです。これこそ、後悔先に立たずというものです。

このことを教訓として、興味のあるもの、良いものには、多少、時間やお金に無理をしても触れておくべきだと思いました。死者は生き返らない。時間は遡れない以上、一期一会ということを考えるような歳になったのかもしれません。


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